応利山で見た「風除大権現」のことが、どこかに残っていました。
風を除ける神。
山の上にある祠。
その意味は、まだ分かりませんでした。
その後、国東半島にある真木大堂を訪れました。
そこには、かつて六郷満山最大の寺院とされる伝乗寺の仏像が残されているという。
堂内に並ぶ仏像は、どれも印象に残るものだった。
なぜこれほどのものが、この場所に残されているのか。
真木大堂の奥には、山へ続く道がありました。
馬城山(まきさん)。
その先に展望台があると知り、登ってみることにしました。

山道を進み、展望台にたどり着く。
そこで、ひとつの祠が目に入りました。
金毘羅宮。
なぜ、ここに。
そう思いました。
金毘羅(こんぴら)さまといえば、海の神として知られています。
けれど、ここは山の上。
海は見えません。
なぜ、この場所に祀られているのか。
その理由は分かりませんでした。

祠の向こうに目を向けると、ひとつの岩山があった。
目を引く形をしている。
存在感のある山でした。

展望台には、周囲の山の名前が書かれた案内板がありました。
けれど、その岩山については、何も書かれていませんでした。
なぜ、あの山だけ名前がないのか。
金毘羅宮は、その岩山の方向を向いていました。
海の神とされる存在が、山を向いている。
それが、どこか引っかかりました。
このときは、まだ何も分からなかった。
ただ、山の上に海の神があり、その先に名前のない山がある。
その配置が、強く印象に残りました。
後になって、この場所にも共通するものがあることに気づきます。
けれど、このときはまだ、それを知りませんでした。
ただ、いくつかの違和感が、静かに重なっていきました。
(連載9につづく)
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載1】宗像大社から始まった不思議な旅。無関係と思っていた「点」をつなぐ道の起点
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載2】移住した旧豊前エリアで浮かび上がるいくつもの謎。つながるようで、つながらない右三つ巴紋がやはり鍵か
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載3】読者からの情報提供で得た「牛頭天王」の謎を追うと天照大神の荒魂・水の女神「瀬織津姫」に行き着いた
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載4】勝者に消された歴史がある?_出雲王国の口頭伝承が伝えられた本、実際に消された跡を見て
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載5】右三つ巴紋を頼りに「消された」「変えられた」跡を拾い集めていくと新たな謎につながっていく
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載6】天念寺で見た、海の模様
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載7】応利山で見つけた小さな祠
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載8】馬城山で見た、山に向かう海の神
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載9】熊野が、国東半島にある
(連載中)

