馬城山で見た景色が、頭から離れませんでした。
山の上にあった金毘羅宮。
そして、その向こうにあった岩山。
なぜあの場所に、海の神様がいるのか。
その違和感だけが、残り続けていました。
しばらくして、国東半島の別の場所を訪れました。

山の中にある、石段を上っていく。
思っていた以上に急で、足が重くなる。
ようやくたどり着いた先に、岩がありました。

その岩に、仏が刻まれている。
思っていたよりも大きくて、
静かに、そこにありました。
しばらく立ち止まって、見上げていました。


岩と、仏と、山の空気。
それがひとつになっていて、
ここがただの観光地ではないことは、すぐに分かりました。
熊野磨崖仏。
熊野。
その言葉に、少しだけ引っかかりました。
熊野は、本来、紀伊の山の信仰のはずです。
それがなぜ、国東半島にあるのか。
距離だけでは説明がつかないものが、ここにはありました。
偶然なのか、
それとも、何かがつながっているのか。
そのときは、まだ分かりませんでした。
(連載10につづく)
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載1】宗像大社から始まった不思議な旅。無関係と思っていた「点」をつなぐ道の起点
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載2】移住した旧豊前エリアで浮かび上がるいくつもの謎。つながるようで、つながらない右三つ巴紋がやはり鍵か
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載3】読者からの情報提供で得た「牛頭天王」の謎を追うと天照大神の荒魂・水の女神「瀬織津姫」に行き着いた
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載4】勝者に消された歴史がある?_出雲王国の口頭伝承が伝えられた本、実際に消された跡を見て
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載5】右三つ巴紋を頼りに「消された」「変えられた」跡を拾い集めていくと新たな謎につながっていく
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載6】天念寺で見た、海の模様
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載7】応利山で見つけた小さな祠
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載8】馬城山で見た、山に向かう海の神
- 【豊のくにあと歴史の謎:連載9】熊野が、国東半島にある
(連載中)

