【うきは市】なぜエビス様だらけ?素戔嗚神社の隅に寄せられた石像と、明治に書き換えられた御祭神と神社名のつながりの可能性

【うきは市】エビス様だらけ?素戔嗚神社の隅に寄せられた沢山の「エビス様」の石像と、街中の「エビス様」の石像の謎
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今年の春先に旅行で訪れた、福岡県西部のうきは市で感じていた違和感について、この記事で綴っておきたいと思います。

うきは市に住んでいる人たちにとっては当たり前過ぎるからか、調べても答えが得られなかったその違和感の内容とは、うきは市の町のいたるところにエビス様の石像があったことです。

車で、徒歩で、「なぜこんなにエビス様の石像があるの?」と不思議に思いました。

そしてその違和感を間違いないものに変えたのは、うきは市浮羽町古川の素盞嗚神社でした。

目次

うきは市浮羽町古川 素戔嗚神社とは

吉井町に鎮座する「祇園祭」で有名な素戔嗚神社ではなく、こちらは筑後川のすぐそばにある素盞嗚神社です。

由緒書きは見当たりませんでした。

小説「水神」の舞台である大石堰が目の前というのに。

小説「水神」とは

『水神(すいじん)』は、福岡県うきは市(旧・浮羽郡)で、筑後川の水を引く「大石堰(おおしぜき)」の建設に尽力した実在の5人の庄屋(五庄屋)たちの姿を描いた、帚木蓬生氏の歴史小説です。荒れた土地に水を引くため、私財を投げ打ち藩に直訴し、困難を乗り越えて治水事業を成し遂げた庄屋たちの「利他の心」と、その壮大な物語が描かれ、多くの読者に感動を与えています。

うきは市浮羽町古川-素盞嗚神社-すぐそばの川は筑後川

複数のエビス様の石像、神仏習合の跡

筑後川のすぐそばで、遠くの山々まで見晴らしがよいそんな場所の隅に、なぜか多くのエビス様の像が置かれていました。

【うきは市】エビス様だらけ?素戔嗚神社の隅に寄せられた沢山の「エビス様」の石像と、街中の「エビス様」の石像の謎
【うきは市】エビス様だらけ?素戔嗚神社の隅に寄せられた沢山の「エビス様」の石像と、街中の「エビス様」の石像の謎
【うきは市】エビス様だらけ?素戔嗚神社の隅に寄せられた沢山の「エビス様」の石像と、街中の「エビス様」の石像の謎

石像だけでなく、エビス様の「恵(え)」?の字が見える石碑もありました。

この素戔嗚神社には、他にも多くの石仏が隅に置かれていたのも気になりました。

うきは市浮羽町古川-素盞嗚神社-すぐそばの川は筑後川

「素戔嗚」の名前が掲げられているのなら神社名や御祭神を変えられた可能性がある?

「スサノオを祀る八坂神社は明治生まれ」_国立歴史民俗博物館名誉教授、新谷尚紀氏監修「神社に秘められた日本史の謎」にはその事実が伝えられています。

寺院と神社が結合していた京都の祇園社は、祭神が牛頭天王から素戔嗚(スサノオ)に変更され、神社名も改められました。

牛頭天王が勧請された各地の神社でも同様の現象が起きたのだと、その本で伝えられていました。

この他にも、地方の小さな神社には、仏像を御神体として、山の神、地主神などを祀る民俗信仰的な神社が多かったが、山の神→大山祇神、地主神→大国主神・少彦名神というふうに祭神が改められ、仏像は撤去されて新たな御神体が指定された。
このように、神仏分離にともなう神社の祭神変更は、建前は神仏習合前の祭神に戻すという形だったが、現実に行われたのは、記紀神話や『延喜式』「神名帳」によって権威づけられた特定の神々に信仰対象を転換するという作業であり、それは全国の神社を国家的なイデオロギーのもとに包摂するという役割をもはたしたのである。そして、今日の神社の多くは、明治の神仏分離によって祭神が変更されていて、現行の社号や祭神としての歴史は、意外に浅いのである。

書籍「神社に秘められた日本史の謎」p.155から引用

うきは市の町中で「右三つ巴紋」

このメディアで追っている、宇佐神宮と多くの八幡神社で使われている左三つ巴紋とは逆向きの右三つ巴紋を、うきは市でも見かけました。

うきは市で見つけた右三つ巴紋
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【うきは市浮羽町西隈上】狛鳥?狛鷽?が守る正八幡宮(隈上正八幡宮)に行ってきました
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この筑後川エリアのエビス様を追えば、また発見があるのではないかと思います。

うきは市浮羽町古川 素戔嗚神社の場所

〒839-1405 福岡県うきは市浮羽町古川920−1

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この記事を書いた人

2021年に豊前市へ移住。フォトライターとして、主に福岡県の豊前市・上毛町・吉富町・築上町・みやこ町・行橋市・苅田町、および大分県の中津市・宇佐市・豊後高田市・国東市といった旧・豊の国エリアを活動範囲としています。
カメラを持ってフラッと6時間のカメラ旅に出かけ、このエリアの史跡、神楽、祭りなどを記録し、「日常を離れた歴史の世界」の魅力を発信するほか、古民家図書館を運営。

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