宇佐神宮の境内を歩いていると、本宮だけでなく、さまざまな神社や場所に出会います。
菱形池の中島に鎮座する水分神社。池の近くにある木匠祖神社。そして、「鬼の石段」と呼ばれる石段。
ほかにも、春日大明神や北辰神社、琴平神社など、境内には異なる神々を祀る社があります。
それぞれの由来を調べていくと、水や龍、木、鬼、星、海など、以前から気になっているものにも出会います。
今回は、宇佐神宮の境内を歩きながら見つけた場所や伝承を、ひとつずつ記録してみます。
水分神社と「中島の竜宮様」
宇佐神宮の境内にある菱形池。
池の中島には、水分神社(みくまりじんじゃ)が鎮座しています。

水分神社の祭神は高龗神(たかおかみのかみ)。水に関わる神として知られています。
この社は「中島の竜宮様」と呼ばれることもあるそうです。
池の中島にある神社と、竜宮という呼び名。
水分神社について調べていると、水や龍に関わる信仰が気になってきます。
私はこれまで、宇佐周辺に点在する貴船神社についても調べてきました。貴船神社では、主に高龗神や闇龗神など、水や龍神に関わる神々が祀られています。

宇佐神宮の水分神社と、地域に点在する貴船神社。
それぞれの由来や信仰について、さらに調べてみたいと思っています。
祓所と八坂神社
宇佐神宮の境内には、祭典の前などに身を清めるための祓所があります。
また、境内社の八坂神社には須佐之男命(スサノオノミコト)が祀られています。
須佐之男命は、後世の信仰のなかで、疫病退散などとも結びついてきた神です。
宇佐神宮では、現在も鎮疫祭が行われています。
祓所、八坂神社、そして鎮疫祭。
それぞれについて調べていくと、祓いや疫病を鎮める祭りという観点からも、宇佐神宮を見てみたくなります。
ただし、これらがどのような歴史的関係にあるのかは、個別に確認していく必要があります。
木匠祖神社
菱形池の近くには、木匠祖神社があります。
社名からは、木や木に関わる技術とのつながりがうかがえます。
私はこれまで、神社や祭りを調べるなかで、水や火、木など、自然に関わるものにも目を向けてきました。
そのため、菱形池の近くにある木匠祖神社も気になった場所の一つです。
ただ、池の近くにあるという位置関係だけで、水と木の信仰が結びついていたと考えることはできません。
まずは、木匠祖神社の祭神や由来、木に関わる信仰について、もう少し調べてみたいと思います。
「鬼の石段」
宇佐神宮には、「鬼の石段」と呼ばれる石段があります。
鬼が一夜で築こうとしたという伝承が残されています。
鬼にまつわる石段は、宇佐神宮だけではありません。
以前、豊前市の求菩提山で「鬼の石段」を知り、国東半島の熊野磨崖仏周辺に伝わる、鬼が石段を築いたという話にも関心を持ちました。

各地の伝承を見ていくと、鬼が石段を築くという話が、異なる場所に残されていることに気づきます。
それぞれの伝承が同じ起源を持つのかどうかは、わかりません。
ただ、宇佐神宮を訪ねたときにも、以前調べた場所と共通する「鬼」というモチーフに出会いました。
こうした共通点も、これから各地を調べていくなかで記録しておきたいことの一つです。
春日大明神と北辰神社
宇佐神宮の境内には、春日大明神を祀る社があります。
春日信仰は藤原氏との関わりが深く、宇佐神宮の歴史を考えるうえでも、中央との関係を調べる手がかりになります。
また、境内には北辰神社もあります。
北辰とは北極星や北斗七星に関わる呼び名で、北辰信仰は星を対象とする信仰です。
宇佐神宮の境内には、八幡神を祀る本宮だけでなく、こうした異なる神々や信仰に関わる場所もあります。
それぞれがいつ、どのような経緯で境内に祀られるようになったのか。
由来をたどることで、宇佐神宮の歴史を別の角度から見られるかもしれません。
金刀比羅神社と金毘羅信仰
境内には、金刀比羅(こんぴら)神社もあります。
一般的に金刀比羅神社で祀られる大物主神は、金毘羅信仰や海上交通などとの関わりからも知られる神です。

海や風の神様です。
宇佐神宮においての御祭神名は情報が見当たらずよく分かりませんでしたが、気になる点のひとつです。
境内を歩いて気になったこと
今回、宇佐神宮の境内であらためて目を向けたのは、水分神社、木匠祖神社、鬼の石段、春日大明神、北辰神社、琴平神社などの場所でした。
水や龍、木、鬼、星、海。
それぞれを調べるなかで、以前から気になっているものにも出会いました。
ただ、同じ境内にあるからといって、それらが最初から一つの信仰体系を形づくっていたとは限りません。
異なる時代に祀られた神々や、さまざまな由来を持つ伝承が、長い時間のなかで同じ場所に集まっている可能性もあります。
それぞれの場所について、由来を調べ、現地で見たものを記録していく。
その積み重ねから、いつか見えてくることがあるかもしれません。
今回は、宇佐神宮の境内で出会ったものを、次の探索の手がかりとして残しておきたいと思います。
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