
「なんだかすっきりしない」日々の暮らしで消すことが難しい、心身の澱みのようなものを、鎮守の杜(森)を歩くことで軽くできるのではと、豊前市に移住したフォトライターが「杜歩き」をテーマに発信をはじめました。
この記事では昨年訪れた、宇佐市の古社「妻垣神社(つまがきじんじゃ)」の杜歩きを紹介します。
妻垣神社とは

約2650年前、神武天皇(じんむてんのう)が東へ向かう途中、宇佐の「妻垣(つまがき)」に立ち寄りました。そこで、宇佐の地を治めていたウサツヒコとウサツヒメが、天皇一行をあたたかく迎えたと「古事記」や「日本書紀」に記されています。
天皇はこの地の美しい朝霧を気に入り、特に輝いて見えた共鑰山(ともかきやま)の大きな石に、母である玉依姫命(たまよりひめのみこと)の御霊をお祀りしました。
そして、その場所を「足一騰宮(あしひとつあがりのみや)」と名付けたことが、妻垣神社の始まりとされています。
妻垣神社の宮司さんによると「宇佐神宮との深い縁があることを調べて知って、足を運んでくださる方がほとんどです」とのこと。
広い境内を落ち葉掃除をされていた時にお話しが伺えたのですが、「せっかく遠くからここを目指して来てくれる方に、気持ちよく過ごしてほしい。神社の維持のために地域の人たちにも沢山助けられています」と仰っていました。
妻垣神社の杜歩き
住んでいる豊前市から、宇佐市安心院町の妻垣神社は車で。
駐車場は迂回路の指定があったので老人ホーム側の道から「二の鳥居」側の駐車場を目指しました。
駐車場までの集落の辺りでは一部細い道もありましたが、駐車場は広々としていたので停めやすかったです。

看板が目印です。


駐車場からすぐちかくの鳥居の奥に、鎮守の杜が見えます。

杜の横を歩いてみたら、足元には紅く染まった葉がたくさん落ちていました。
この時は2024年の12月。
いつもよりずっと遅い紅葉でした。

節が何かに見えてくる、大きな杉の木。

神社といえば、楠(クスノキ)。大きい。

鳥居の手前から見えていた、門がこちら。
朱色がとても綺麗です。


木鼻(伝統建築で、柱を貫通し突き出た部分の名称)が狛犬というのは珍しいと聞いたことがありますが、なんといっても肉球が可愛い。
これを彫った職人さんも、そう思っていたのだろうかと思い馳せてしまいます。

灯籠の土台にも狛犬。
珍しい…と思います。
移住した豊前市中心に、色々な神社仏閣を訪れてきましたが、他で見たのは、豊後高田市の奇祭「ホーランエンヤ」で有名な若宮八幡神社ぐらい。

拝殿正面の青い龍、木鼻の龍もすごいです。
この妻垣神社の御祭神であり龍神の娘である「玉依姫」との関係ではないかと予測します。
また青い龍といえば、京都の八坂神社Webサイトによると「方角を司る四神のうちの一神で、東方の鎮守である。
すなわち青龍は「東」の象徴。『東』は太陽が昇る方角。『朝』『太陽』『誕生』『始まり』などを意味する。そして「龍」は気の流れそのもの。」と伝えられているようですが、龍は龍でも色で違いがあるのかもしれませんね。

拝殿に向かって右側に行くと、安心院盆地が見える眺めがよい場所があり、そこに行くと大きな御神木がありました。
幹の太さに圧倒されます。


広い境内の片隅には小さな石の祠が集まっている場所もありました。

冒頭の神社の説明でお伝えした、妻垣神社の由来である「比咩大神御降臨の地 足一騰宮(あしひとつあがりのみや)」が、この先にあります。
低山登山慣れしている方なら、プチ登山気分で帰って来れますが、日頃運動不足の方はお気をつけて。
運動不足だった自分は翌日から筋肉痛でした。
(安全のため、スニーカーやトレッキングシューズがおすすめ)
宮司さんが定期的に落ち葉掃除はしてくれているようで、ネットで見た「蜘蛛の巣だらけ」ではありませんでしたよ。

この日は、足一騰宮や薬師堂(道が荒れていたので途中まで)まで行ってみたので、2時間ぐらい滞在していました。
それ以外の神社エリアだけでも、歩いて15分以上はかかると思います。
神社のすぐ近くには営業日は限られているもののカフェがあったり、気さくな宮司さんに尋ねたらこのエリアの見どころやおすすめのお店も教えてくれると思うので、初めての方も訪れやすいはず。
安心院町には他にも不思議なパワースポット「佐田京石」や天然の温泉もあるので、杜歩きの候補に、ぜひ加えてみてください。
妻垣神社のアクセス
〒872-0506 大分県宇佐市安心院町妻垣
Webサイト:http://www.tumagakijinjya.com/