豊前周辺を歩くようになって、神社の屋根に、鬼の顔をした瓦があることに気づきました。
目を見開き、口を大きく開けた顔。屋根の上から、こちらを見下ろしているようにも見えます。
お寺や古い建物で見かけるものだと思っていましたが、神社でも目にすることがあります。
いったい、鬼瓦にはどのような役割があるのでしょうか。
気になったので、少し調べてみました。
鬼瓦は、屋根の端に置かれる瓦
鬼瓦は、建物の屋根の棟の端などに据えられる瓦です。
屋根の端を納める役割があり、雨仕舞いを助けるとともに、屋根の輪郭を形づくる装飾でもあります。
現在では、鬼の顔を思い浮かべることが多いと思いますが、古い鬼瓦には、鬼の顔とは異なる文様も使われていました。
飛鳥時代の寺院跡から出土した鬼瓦には、蓮の花を表した蓮華文があります。
奈良国立博物館などの解説によると、7世紀の鬼瓦には蓮華文などが見られ、奈良時代以降には鬼面文が各地で使われるようになりました。
鬼瓦という名前から、最初から鬼の顔が表現されていたように思えますが、そうではなかったのです。
なぜ、鬼の顔なのか
鬼瓦に鬼の顔が表現されるようになった背景には、災いを退けるという意味があったと考えられています。
徳島県立博物館の解説では、鬼瓦の鬼は、家屋に入り込もうとする災いを追い払う力を持つ存在として捉えられていたと説明されています。
恐ろしい顔でにらみを利かせることも、建物やそこで暮らす人々の安全を願う表現のひとつだったのでしょう。
ただし、鬼瓦のすべてが同じ意図で作られたとは限りません。文様や形は時代や地域によって異なり、鬼の顔以外の意匠を持つものもあります。
神社の屋根にもある鬼瓦
鬼瓦は、お寺だけでなく、神社や城、民家など、さまざまな建物で見ることができます。
神社で鬼の顔をした瓦を見つけたとき、私は少し不思議に感じました。
神社とお寺では、建物の様式も、そこで行われる祭祀も異なります。それでも、屋根の上には、似た表情の鬼瓦があります。
その理由を考えるには、それぞれの建物がいつ建てられたのか、屋根がいつ修理されたのか、どのような瓦が使われているのかといったことも関係してきます。
まずは、そこに鬼の顔をした瓦があるということ。その形や文様を観察することから始めたいと思います。
屋根の上にあるもの
豊前周辺の神社を歩くなかで、目に留まるようになった鬼瓦。
調べてみると、鬼瓦は屋根を納めるための実用的な部材であると同時に、建物を飾り、災いを退ける願いとも結びついてきたものでした。
屋根の上にあるため、普段は見上げなければ気づかないこともあります。
けれど、少し目を向けてみると、神社ごとに違う形や表情が見つかります。
これからも神社を訪ねるなかで、鬼瓦を見つけたら、形や文様を記録していきたいと思います。



