神社の御祭神を調べていると、知らなかった名前に出会うことがあります。
三重県多気郡明和町にある竹神社の由緒書を読んでいたときのことです。
御祭神の一柱に、火産霊神(ほむすびのかみ)という神様がいました。
由緒書には、岩内の火地神社から合祀された神様として紹介され、
「火と鍛冶の神様。軻遇突智とも呼ばれる」
と記されていました。
軻遇突智。
かぐつち、と読みます。
私は、この二つの名前が同じ神様を指していることを知りませんでした。
火産霊神と軻遇突智。名前が違うので、別の神様なのだろうと思っていたのです。
古典に登場する火の神
調べてみると、軻遇突智は『日本書紀』に登場する火の神で、『古事記』では「火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)」と記されています。
『日本書紀』には「火産霊(ほむすひ)」という表記もあり、火産霊神と軻遇突智は、同じ火の神を指す名前として伝えられています。
この神は、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)の間に生まれました。
火の神を産んだ伊弉冉尊は、その火によって大やけどを負い、亡くなってしまいます。
悲しんだ伊弉諾尊は、火の神を剣で斬ります。その血や体からも、さまざまな神々が生まれたと伝えられています。
火産霊神、軻遇突智、火之迦具土神。
それぞれの名前を別々に見ていたら、同じ神話につながっていることにも気づかなかったかもしれません。
神社の名前から、神話へ
今回の発見は、竹神社の由緒書がきっかけでした。
火産霊神という名前を見て、そこに「軻遇突智とも呼ばれる」と書かれていたからこそ、二つの名前を結びつけることができました。
神社によって、御祭神の表記は異なります。
ある神社では火産霊神、別の神社では軻遇突智、また別の神社では火之迦具土神。
名前だけを見ていると、別々の神様のように感じることもあります。
でも、古典をたどってみると、同じ神が異なる名前で記されていることが分かります。
私はこれまで、火産霊神と軻遇突智を別の神様だと思っていました。
今回、その思い込みが一つほどけました。
神社を訪ね、御祭神の名前を記録する。
そして、知らない名前に出会ったら、少し調べてみる。
そうすることで、今まで別々に見えていたものが、つながっていくことがあります。
今回の竹神社での発見を、ここに記録しておきます。
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