出雲と宗像。海を越えてつながる神々と人々

宗像大社
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福岡県宗像市にある宗像大社。

沖津宮・中津宮・辺津宮に祀られる宗像三女神は、古くから航海安全の神として信仰されてきました。

一方、島根県の出雲大社は、大国主神を祀る神社として知られています。

一見すると、離れた地域にある二つの信仰ですが、神話や氏族の伝承をたどっていくと、両者の間にはいくつかのつながりが見えてきます。

目次

神話に登場する、出雲と宗像の関係

『古事記』では、宗像三女神は須佐之男命から生まれた神々として登場します。

その三女神のひとり、多紀理毘売命(たきりびめのみこと)は、のちに大国主神の妻となり、阿遅鉏高日子根神(あぢすきたかひこねのかみ)と下光比売命(したてるひめのみこと)を生んだと記されています。

つまり、神話の中では、宗像の神と出雲の神が婚姻によって結ばれているのです。

また、『日本書紀』にも、宗像三女神と須佐之男命の関係が記されています。

宗像と出雲のつながりは、単に地理的に近いということではなく、神話の中にも描かれています。

宗像氏と出雲のつながり

神々だけでなく、祭祀を担った氏族にも関係をうかがわせる記録があります。

『新撰姓氏録』には、宗像朝臣や宗形君の祖に関する記述があり、その系譜には大国主命につながる伝承も見られます。

ただし、宗像氏の出自については明らかになっていない部分もあり、これだけで宗像氏が出雲から来たと断定することはできません。

國學院大學の解説でも、宗像氏と出雲との関係について、神話や氏族の系譜に見られるつながりが紹介されています。

海を通じて広がった人々の足跡

2017年9月2日の西日本新聞に、岡本雅享氏による「『出雲』の足跡を追って『宗像』『安曇』に出会う」という記事が掲載されています。

この記事では、出雲を原郷とする人々の足跡を追うなかで、日本海沿岸の各地に宗像や安曇に関わる地名、神社、伝承が見つかることが紹介されています。

たとえば、石川県の能登半島西岸にある志賀町。

出雲神を祀る古社が分布する地域の近くに、宗像三神を祀る意冨志麻神社や、安津見という旧村があります。

また、福島県の会津地方にも、出雲神を祀る神社と宗像神社があり、宗像大神が只見川を遡ってきたという伝承が残されています。

こうした事例から、出雲・宗像・安曇の人々が、海を通じて各地へ移動し、信仰や文化を伝えていった可能性が考えられています。

宗像族は出雲族を起源とするのか

出雲と宗像の関係については、もうひとつ興味深い伝承があります。

大元出版の書籍に関わる口頭伝承では、宗像族はもともと出雲族を起源とする、という見方が伝えられています。

これは、現在確認できる史料から確定できる歴史的事実とは分けて考える必要があります。

ただ、神話の中で宗像三女神と出雲の神々が結ばれていること、宗像氏の系譜にも出雲とのつながりをうかがわせる記述があること、そして海を介した人々の移動を示唆する各地の伝承が残されていること。

こうした点を並べてみると、出雲と宗像の関係を、もう少し広い視点から見てみたくなります。

海の道の先に

宗像と出雲。

二つの地域の間には、神話や氏族の伝承、そして海を通じた人々の移動を思わせる痕跡が残されています。

それぞれの神社や土地を訪ねながら、そこに残る名前や伝承を見ていくと、離れた場所にあるもの同士が、思いがけないところでつながっていることがあります。

海は、地域を隔てる境界であると同時に、人々が行き交う道でもあったのかもしれません。

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