宗像三女神の一柱、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。
宗像大社では辺津宮に祀られ、後世には弁才天とも習合した女神です。
その市杵島姫命について、巫女のような性格を持つ神だったのではないか、という説があることをご存じでしょうか。
市杵島姫命のもうひとつの名前
『古事記』では、市杵島姫命は「市寸島比売命」と記され、別名を「狭依毘売命(さよりびめのみこと)」といいます。
この「狭依毘売」という名前の解釈が、巫女説につながっています。
國學院大學の古典文化学事業が公開する神名データベースでは、「ヨリ」を神霊が依り憑く意味と捉え、その神格を巫女とする説が紹介されています。
つまり、神霊が依り憑く存在、あるいは神霊を迎える存在として、市杵島姫命を捉える見方です。
一方で、「ヨリ」を船が寄る意味と解釈し、船舶の寄港地をつかさどる女神とする説もあります。
同じ名前から、異なる神格の解釈が生まれているのです。
宗像三女神のなかで
宗像三女神は、いずれも海に関わる神として信仰されてきました。
そのなかで市杵島姫命については、神霊が依り憑く島、あるいは祭祀に関わる女神という解釈が示されています。
「狭依毘売」という別名に注目すると、これまでとは少し違った姿が見えてきます。
宗像の神々は、航海の安全を守る神というだけではなく、海を行き交う人々が神を迎え、祈りを捧げる祭祀とも関わっていたのかもしれません。
市杵島姫命の名前に残された「依り憑く」という意味。
そこから、宗像の神々がどのような祭祀の中で祀られてきたのか、考えてみたくなります。
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