神楽を見に行くようになってから、気になる神社が増えました。
その一つが、貴船神社です。


豊前神楽を見に行って、神社のことを調べていると、貴船神社という名前に何度も出会いました。
別の神社を調べていても、また貴船神社。
神楽が奉納される神社を調べても、貴船神社。
こんなにあるのか。
いつの間にか、それが気になっていました。
貴船神社といえば、私がまず思い浮かべるのは京都の貴船神社です。
でも、京都にはほぼ一社しかありません。
それなのに、なぜ北部九州には、こんなに貴船神社があるのだろう。
それが、貴船神社を調べ始めたきっかけでした。
貴船神社の御祭神
京都の貴船神社について調べてみると、本宮の御祭神は高龗神です。
高龗神。
「たかおかみのかみ」と読みます。
水の供給を司る神。
そして奥宮にも高龗神が祀られています。
一方で、奥宮については、一説として闇龗神も祀られていると伝えられています。
ここで、少し気になりました。
高龗神と闇龗神。
二つの名前があります。
ところが、貴船神社の説明には、
「呼び名は違っても同じ神なり」
とあります。
同じ神なのに、なぜ二つの名前があるのでしょう。
高龗。闇龗。
「高」と「闇」。
この二つは、何を表しているのか。
高龗と闇龗
貴船神社の説明では、一説として、高龗は「山上の龍神」。闇龗は「谷底暗闇の龍神」。
とされています。
同じ神でありながら、山の上と、谷底。高いところと、暗いところ。
見上げる場所と、見えない場所。そんな違いがあります。
さらに高龗神は、雨を降らせるだけの神ではありません。
雲を呼び、雨を降らせ、陽を招き、降った雨を地中に蓄え、それを少しずつ適量に湧き出させる。
水が巡っていく、その働きを司る神とされています。
雨が降る。地中に蓄えられる。
そして、湧き出す。
水は姿を変えながら巡っていきます。
そして貴船神社では、古くから雨乞いだけでなく、雨止みも祈願されてきました。
日照りのときには黒馬が捧げられた。
長雨のときには白馬、または赤馬。
雨を降らせることと、雨を止めること。どちらも水に関わる祈りです。
二つの側から見る
こうして見ていくと、不思議です。
高龗と闇龗。山上と谷底。雨と雨止み。
降る水と、地中に蓄えられる水。
一つの神なのに、二つの側から表現されているようにも見えます。
もちろん、これだけで何かを断定することはできません。
でも私は、ここで少し引っかかりました。
もしかすると、二つのものを別々に見るのではなく、二つで一つとして見る。
そういう考え方が、貴船神社にはあるのだろうか。
そんなことを考えるようになりました。
そして、調べれば調べるほど、最初の疑問に戻ってきます。
なぜ京都にはほぼ一社しかない貴船神社が、北部九州にはこれほど多いのだろう。
なぜ神楽のある場所で、何度も出会うのだろう。
まだ、分かりません。
ただ、最初は「貴船神社が多い」ということが気になっただけでした。
それが今は、高龗と闇龗。山上と谷底。雨と雨止み。
そんな二つの側にも目が向くようになっています。
貴船神社を追っていると、「一対」という言葉が、気になるようになりました。



