宇佐神宮の式年造営について調べる中で、気になったことがありました。
式年造営に関わる三社——大楠神社、白山神社、斧立八幡神社。
そのうち、大楠神社と白山神社では、印象的なクスノキの大木を見たのです。


特に大楠神社は、その名の通り「楠」が神社名に入っています。
一方で、不思議だったのが斧立八幡神社でした。

「斧立」という名前からは、木を切り出す技術や、造営との強い関係を感じます。
さらに、この神社では手置帆負神・彦狭知神という、建築や木工に関わる神々も祀られています。
それなのに、境内では大きなクスノキが目立ちませんでした。
もちろん、時代の中で失われた可能性もありますし、単なる偶然かもしれません。
ただ、ここでふと浮かんだのが、「クスノキは古代の舟材だった」という話でした。
クスノキは、防虫性や耐水性に優れ、大木になりやすいことから、西日本では古くから舟や建材に利用されてきたといわれています。
特に丸木舟の材料として知られており、海との関わりが深い木でもあります。
そう考えると、宇佐神宮の式年造営に関わる神社にクスノキの大木が残っていることは、単なる偶然ではないようにも感じられました。
宇佐神宮は現在こそ海岸線から少し内陸にありますが、古代には周辺に海や潟が入り込み、水運と深く結びついた地域だったと考えられています。
これまで「豊のくにあと」で追ってきた、
- 海神社
- 龍王信仰
- 安曇磯良
- 貴船神社
- 菱形池
- 八屋祇園の舟歌
といったキーワードも、海との関係を色濃く残しています。
さらに、式年造営そのものも、大量の木材を切り出し、運搬する巨大な事業でした。
もし当時、木材輸送に水運が深く関わっていたとすれば、「舟をつくる木」であるクスノキが重要視されていたとしても不思議ではありません。
もちろん、現段階では確実な証拠があるわけではありません。
ですが、
- 造営を担った神社
- クスノキ
- 海
- 舟
- 木工の神々
これらが、豊前・宇佐周辺で何度も重なって現れることは、大変興味深く感じています。
特に印象的だったのは、「大楠神社」と「斧立八幡神社」の対比でした。
一方は楠の名を持ち、もう一方は斧の名を持つ。
まるで、「木そのもの」と「木を扱う技術」が対になっているようにも見えてきます。
現地を歩きながら、そんなことを考えていました。




