鹿島神宮には「要石(かなめいし)」と呼ばれる石があります。
地震を起こす大鯰の頭を押さえていると伝えられる石です。
地上に見えている部分は小さいものの、地中深くまで続いているとされ、古くから地震を鎮める石として信仰されてきました。
今回、鹿島神宮について調べているなかで、もうひとつ気になる場所を見つけました。
和歌山県みなべ町の沖合に浮かぶ、鹿島という島です。
和歌山県みなべ町の鹿島
みなべ町の鹿島は、紀伊水道に浮かぶ無人島です。
この島には鹿島明神が祀られています。
伝承によれば、鹿島明神は常陸国(現在の茨城県)の鹿島神宮から勧請された神とされています。
そして、この島にも「要石」があります。
和歌山県の歴史を紹介するウェブサイトによると、要石は海中から見つかった霊石で、現在は島内の戦勝観音のそばに安置されているそうです。
この石には、鹿島の下にいる地震の神を、鹿島明神が押さえているという伝承が残されています。
鹿島神宮の要石と、よく似た役割を持つ石が、遠く離れた和歌山にもあったのです。
地震と津波から地域を守る島
みなべ町の鹿島には、もうひとつ興味深い伝承があります。
宝永4年(1707年)の宝永地震では、紀伊半島沿岸にも大きな津波が押し寄せました。
その際、鹿島が津波から町を守ったという言い伝えが残されています。
島の鹿島明神は、地震や津波などの災害から地域を守る神として信仰されてきたようです。
海に浮かぶ島に神を祀り、地震の神を鎮める要石がある。
この場所では、海と災害、そして神への信仰が結びついています。
鹿島神宮の要石との関係
茨城県の鹿島神宮と、和歌山県みなべ町の鹿島。
どちらにも要石があり、地震を鎮めるという伝承が残されています。
また、みなべ町の鹿島には、鹿島神宮から武甕槌神を勧請したという伝承もあります。
このことから、鹿島神宮の信仰が和歌山に伝わるなかで、要石の信仰も伝えられた可能性が考えられます。
ただし、要石の伝承がいつ頃からあったのか、鹿島神宮の要石との関係がどのように成立したのかは、まだ確認できていません。
同じ名前の石があるからといって、すぐに同じ由来だとはいえません。
それぞれの土地に残された記録や伝承を、もう少し調べてみる必要がありそうです。
各地にある要石
調べてみると、要石は鹿島神宮だけにあるものではありません。
香取神宮や、島根県の長浜神社、三重県の大村神社などにも、要石にまつわる信仰が伝えられています。


それぞれの石が、どのような神と結びつき、何を鎮めるものとして伝えられてきたのか。
また、海や島、水辺との関係はあるのか。
今後、各地の要石についても調べてみたいと思います。
鹿島神宮について調べ始めたことから、和歌山の鹿島にも要石があることを知りました。
ひとつの神社を調べていると、思いがけない場所に、似た名前や伝承が残っていることがあります。
今回の要石も、そうした発見のひとつです。
参照先
- 和歌山県「わかやま歴史物語」鹿島の要石
- 鹿島神宮 — 要石と武甕槌大神について
- 香取神宮 — 経津主大神と要石について



