これまで、豊のくにあとでは、八幡神社、貴船神社、八坂神社、住吉神社、高良神社、白山神社などを訪ねてきました。
神社の由緒や祭神を調べるなかで、武内宿禰や海に関わる神々、水に関する伝承に出会うことも多くありました。
雨乞いの記録も、各地で見つけています。
一方で、あまり見かけなかったのが「月」に関する記録です。
月読尊を祭神とする神社や、月にまつわる伝承。
これまで歩いてきた地域では、不思議なほど出会う機会がありませんでした。
そこで、あらためて月読尊を祭る神社や、月に関係する地名を調べてみることにしました。
月読神社と壱岐
調べていくと、長崎県の壱岐にある月讀神社が目に留まりました。
壱岐の月讀神社は、月の神を祀る神社として知られています。
『日本書紀』の顕宗天皇3年(487年)の記事には、壱岐県主の先祖とされる押見宿禰が、月神の祭祀に奉仕したという記述があります。
また、京都の月読神社の由緒にも、壱岐の月神に関する伝承が残されています。
月読尊の祭祀をたどると、壱岐という土地がひとつの手がかりとして浮かんできます。
織幡神社で出会っていた壱岐真根子臣
ここで、以前調べた神社のことを思い出しました。
福岡県宗像市鐘崎にある織幡神社です。

武内宿禰に関係する神社として訪ねた場所ですが、祭神のなかに「壱岐真根子臣」の名前がありました。
壱岐真根子臣は、『日本書紀』に登場する人物です。武内宿禰が謀反の疑いをかけられた際、その身代わりとなったと伝えられています。
織幡神社には、壱岐真根子臣の子孫にあたる壱岐氏が祭祀に関わったという伝承もあります。
武内宿禰をたどって訪れた織幡神社で、壱岐という名前に出会っていたわけです。
まだ、つながりは分からない
今回あらためて調べてみると、壱岐には月神の祭祀に関わる押見宿禰の記録があり、織幡神社には武内宿禰と壱岐真根子臣、そして壱岐氏に関する伝承が残されています。
ただし、押見宿禰と壱岐真根子臣、二つの人物や氏族の関係が、これだけで分かるわけではありません。
また、月読尊の祭祀と織幡神社の祭祀を、直接結びつけることもできません。
現時点では、それぞれの記録を並べておく段階です。
これまで見てきた神社や伝承を振り返りながら、今度は月に関する記録にも目を向けてみたいと思います。
壱岐は、いつか実際に訪ねてみたい場所のひとつになりました。


