神社の御祭神を調べていると、同じ名前の神に出会うことがあります。
そのひとつが「比売大神(ひめおおかみ)」です。
奈良の春日大社と、大分の宇佐神宮。
離れた場所にある二つの神社に、同じ名前の神が祀られています。
ただし、同じ名前だからといって、同じ神を指しているとは限りません。
春日大社の比売神
春日大社の本殿には、四柱の神が祀られています。
第一殿 武甕槌命
第二殿 経津主命
第三殿 天児屋根命
第四殿 比売神
春日大社の由緒によると、神護景雲2年(768年)、藤原永手らによって現在の場所に社殿が整えられ、鹿島・香取・枚岡の神々が迎えられました。
第四殿の比売神も、枚岡神社に祀られていた神です。
枚岡神社では、比売御神を天児屋根命の后神と伝えています。天児屋根命は中臣氏の祖神とされる神であり、春日大社の祭神にもそのつながりを見ることができます。
宇佐神宮の比売大神
一方、宇佐神宮の本殿は三つの御殿からなり、それぞれに神が祀られています。
一之御殿 八幡大神
二之御殿 比売大神
三之御殿 神功皇后
宇佐神宮の比売大神は、宇佐市の案内では、多岐津姫命・市杵嶋姫命・多紀理姫命の三柱とされています。
宗像三女神として知られる神々です。
宇佐神宮の境内にある御許山は、比売大神の降臨にまつわる伝承が残る場所でもあります。
文化遺産オンラインの解説では、宇佐神宮の本来の祭神は八幡神と比売神の二座であったとする説明も紹介されています。
同じ名前の神
春日大社の比売神と、宇佐神宮の比売大神。
どちらも「比売」という名を持つ女神ですが、現在それぞれの神社で説明されている神の由緒や位置づけは異なります。
春日大社では天児屋根命の后神として伝えられ、宇佐神宮では宗像三女神として説明されています。
同じ名前を持つ神は、ほかの神社にも見られます。
その名前が同じであることは、何かを考えるきっかけにはなりますが、それだけで同一の神と判断することはできません。
神社ごとに残る由緒や伝承を見比べながら、少しずつ確かめていきたいと思います。
参考記事
春日大社・枚岡神社
- 春日大社の四柱の御祭神と、第四殿の比売神について。春日大社公式サイト。
- 春日大社の創建と御本殿の由緒。
3. 枚岡神社|御由緒
- 天児屋根命と比売御神の関係、春日大社への勧請について。枚岡神社公式サイト。
宇佐神宮・比売大神
4. 宇佐市|御許山
- 比売大神の降臨伝承、大元神社、御許山の磐座について。
- 宇佐神宮第二殿の比売大神と、御許山に伝わる三女神の伝承について。
- 宇佐神宮の本来の祭神を八幡神と比売神の二座とする説明や、宇佐氏の比売神信仰について。
7. 宇佐神宮境内・天然記念物宇佐神宮社叢保存活用計画(PDF)
- 宇佐神宮の祭神の変遷や、八幡信仰の成立についての解説。
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