阿蘇神社の外縁を歩いていて、見覚えのある花を見つけました。
前回の記事で触れた、水神や龍神の名が刻まれた石碑にです。

本殿とは異なる方向を向いて建てられた、あの不思議な石碑。
その上部を見上げると、ひとつの花の意匠が彫られていました。
中央から放射状に広がる花弁。

菊のようにも見える。
蓮華紋のようにも見える。
どちらかと言われると、どちらとも言い切れません。
そんな曖昧さを持った花だった。
なぜ気になったのか。
それは、この花に見覚えがあったからです。
私はこれまで、豊前や豊後の各地を歩くなかで、よく似た花の意匠を何度か見つけてきました。
みやこ町の国分寺跡地で。
北九州市の海の近くの貴船神社で。
国東半島の六郷満山で。
宇佐の小さな神社で。
日田盆地の古い社で。
場所も由来も異なるはずなのに、どこか共通する雰囲気を持った花の彫刻が残されていました。

もちろん、これらが同じ系統の意匠なのかどうかは分かりません。
単なる偶然かもしれません。
ありふれた装飾だった可能性もあります。
けれど、豊前・豊後で見てきた花と、阿蘇の地で出会った花が、私の中では確かに重なりました。
興味深いのは、その花が阿蘇神社の本殿ではなく、水神や龍神への祈りを思わせる石碑に刻まれていたことです。
整えられた中心ではなく、その外側。
前回見つけた神陵碑や猿田彦の石祠と同じように、この花もまた境界の側にありました。
今回見つけたのは、ひとつの答えではありません。
ただの点です。
それでもフィールドワークを続けていると、ときどき離れた土地の点と点が不思議に重なって見えることがあります。
阿蘇で見つけたこの花も、そのひとつなのかもしれません。
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